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ヴェニスでのコンサートその1

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    既に綴ったように、50年ぶりの
    ヴェニスのアックア アルタ。
    正直、150センチ越えの水量が
    ヴェニスの市中にとってどのような
    ものなのか、こればかりは
    いくら私をご心配いただいても
    私自身が現状を見なければ
    分からないことでした。

    実はロンドンのプログラム演奏後、
    「翌朝、ヴェニスへ行き、
    明後日リサイタルを開催します」
    との旨をお客様お話しすると
    「水泳用ゴーグルを用意したら?」
    とのお声が…
    それがどういう意味かも分からず
    笑うことすら出来ませんでした。

    しかし、現地に到着して
    「こういうこと…」と納得の現実が
    目の前に広がっていました。

    最高潮位のときは、
    水上タクシーも水上バスも
    運河の停泊所に船をつけられず…
    海上を旋回。
    要するに、
    飛行機が滑走路に着陸出来ず、
    しばらく旋回して待機するように
    船も海上で水位が下がるのを待つ、
    もしくは
    停泊出来る場所が見つかるまで
    洋上を旋回して待つ…
    船を岸につけたくても
    停留所が水面より低いのですね。
    それを実際に目にしないと
    分かりませんでした。

    私より2日前にヴェニス入りした
    今回の仕事の斡旋してくれた友人は
    何とか停泊所で下船したものの
    コロコロ引きずるスーツケースは
    当然のことながら浸水し
    大変な思いをしたそうです。

    おかげさまで私の到着日は
    予報では水位138センチ!
    長靴では意味がないので、
    お迎えの知人に以下の写真の
    オーバーシューズを
    お持ちいただきました。
    ちょっとサイズが大きく
    歩いてみたら…辛かった(苦笑)








    これをもっと上まで伸ばします。
    靴の上から履くのですが、
    これがまた歩き難い!
    それに濁った海水の中を歩くので
    何かに引っかかってこのビニルが
    切れたら…悲劇!
    というわけで、
    そろ〜りそろ〜りと水中を歩く!
    プールの水中ウォーキングが
    かなりのトレーニングであることを
    身をもって体験!

    本当に水位が100センチを越えたら
    歩く…より
    泳ぐ…でしょうね。
    それもゴーグル付けて…(爆笑)

    そして翌日(コンサート当日)の朝、

    窓の下を眺めてはため息をつく…
    なぜなら
    ヴェニスは自転車もバイクも
    当然のことながら車もない。
    移動は船か歩き!
    窓の下は石畳みの小路です。
    人の歩く靴音が聞こえてくるはず
    …が、バシャ〜バシャ〜
    という音しか聞こえないのです。
    小路を歩く人たちは、水の抵抗に
    抗いながらゆっくり歩いています。

    下の写真、
    これは川ではありませんよ。
    普通の小径です。






    この後、水はどんどん増しました。
    コンサートを企画してくれた
    ジョバンニさんたちととことん
    相談!
    結局、私のコンサート開始時間は
    11時半から16時半に変更。
    少しでも潮が引いてから…と。
    「いやいや、この水位では
    いくらなんでも中止でしょう?」
    との私の意見は彼らには通じず…
    「1人でもお客様がいらしたら
    演奏する!」と決めました。

    今日の演奏会場は
    13世紀の貴族の館。
    歩いて30分ほどで着くな…
    の思いで支度!

    その2に続く



    山季布枝 * 山季の気まぐれブログ * 23:55 * - * - * - -
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